もう一つのウエスト・コースト・ロック

以前、『ウエスト・コースト・ロック』の、バンドは『イーグルス』と投稿しましたが、もう一つバンドがいました。それは、『ザ・ドゥービー・ブラザーズ』です。

1970年、Pudなるバンドで活動していたトム・ジョンストン(G,Vo)、ジョン・ハートマン(Ds)に、パトリック・シモンズ(G,Vo)、デイヴ・ショグレン(B)が合流し結成されます。グループ名の「ドゥービー」はスラングで「マリファナ煙草」の意味です。

1971年、解散までドゥービーズのアルバムを手がけることになるテッド・テンプルマンのプロデュースにより、ワーナー・ブラザース・レコードからデビュー・アルバム『ドゥービー・ブラザース』(全米58位)をリリース。レザー・ジャケットにジーンズという典型的なバイカー・ファッションに身を包んだスナップをあしらったアルバム・ジャケットに象徴されるハードなロックと、アコースティック・ギターによるフォーク、カントリー色の強い楽曲を配置したが、商業的には成功しませんでした。

デビュー・アルバムのリリース後間もなく、グループに2人目のドラマー、マイケル・ホサックが加入。この後永きにわたってグループのトレードマークとなるツイン・ギター、ツイン・ドラムスの5人編成が完成します。セカンド・アルバムのレコーディング中にデイヴ・ショグレンが脱退、後任にタイラン・ポーターが加入し、1970年代前半の黄金期を支えるメンバーが揃います。

1972年、セカンド・アルバム『トゥールーズ・ストリート』(全米21位)をリリース。同作からシングル・カットされた「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」が全米11位まで上昇するヒットとなり、グループは一躍全米規模の人気バンドとなります?

サザン・ロック色の濃い音楽性に加え、二人のドラマーに黒人のベーシストを加えた、力強いファンキーなリズムセクションは評判を呼び、1973年のアルバム『キャプテン・アンド・ミー』(全米7位)からは「ロング・トレイン・ランニン」(全米8位、全英7位)、「チャイナ・グローヴ」(全米15位)がヒット。 1974年のアルバム『ドゥービー天国』からは「ブラック・ウォーター」が初の全米1位となり、イーグルスと並びアメリカン・ロックを代表する人気バンドのひとつとなりました。

『ドゥービー天国』レコーディング直後にマイケル・ホサックが脱退し、キース・ヌードセンが後任に加入、同時期に、これまでも度々ゲスト参加していた元スティーリー・ダンのジェフ・バクスターが正式加入し、トリプル・ギター編成となります。1975年、このラインナップによる5thアルバム『スタンピード』をリリース。全米4位まで上昇するヒットとなり、RIAA認定のゴールドディスクを獲得。

しかしこの頃から、バンドの顔でありヒット作を数多く作曲していたジョンストンの健康状態が悪化し、バンドを一時脱退してしまう。間近に控えたツアーのため、ジョンストンの代役としてバクスターの紹介により、スティーリー・ダンのツアーメンバーだったマイケル・マクドナルドが正式加入する。卓越した歌唱力に加え、スティーリー・ダンで培った作曲能力を持ったマクドナルドの存在は大きく、バンドの音楽性はトム・ジョンストン期の野性味あふれる快活なギターロックから、R&Bの影響を受け洗練されたAOR色の強いものへと変化していきます。

こうした音楽性の変化に対しては大きく賛否が分かれたが、1978年のアルバム『ミニット・バイ・ミニット』と、マクドナルドがケニー・ロギンスと共作したシングル「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」はともに全米1位を獲得。アルバムタイトル曲はグラミー賞の最優秀ポップ・ボーカル(デュオ、グループまたはコーラス部門)賞、「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」は最優秀楽曲に輝き、高い人気と評価を確立しました。

音楽性の変化に伴いメンバーの変化もあったものの、ジョン・マクフィーやコーネリアス・バンパスといった優れたミュージシャンに支えられ、また、脱退しソロ活動を行っていたトム・ジョンストンの客演や、初期のレパートリーにも抜群のサポートぶりを発揮するマクドナルドの活躍などにより、新旧のファン層に支えられ順調に活躍するも、80年代に入ると各人のソロ活動が活発化し、この時点で唯一のオリジナル・メンバーとなったリーダーのパトリック・シモンズは活動休止を提案、それに添う形で1982年に初期のメンバーも参加して「フェアウェル・ツアー」と銘打った大規模なライブを行なった後、解散しました。

1987年にチャリティーコンサートのために一時再結成したドゥービーズは、1989年、オリジナル・メンバーのジョンストン、シモンズ、ハートマンに、初期黄金期を支えたマイケル・ホサック、タイラン・ポーター、『ミニット・バイ・ミニット』のレコーディングやフェアウェル・ツアーでもグループを支えたボビー・ラカインドの6人編成で正式に再結成、復活アルバム『サイクルズ』をリリースし活動を再開します。初期を髣髴とさせる力強いロック・サウンドをフィーチャーした本作は全米17位まで上昇、シングルカットされた「ザ・ドクター」も全米9位まで上昇するスマッシュ・ヒットとなり、健在振りをアピールしました。

再結成から正式メンバーとなったラカインドが末期ガンのため引退し、5人編成に戻って制作された次作『ブラザーフッド』は82位と奮わなかったが、シングル・カットされた「デンジャラス」はビルボード・メインストリーム・ロック・チャートの2位まで上昇しました。その後もメンバー・チェンジを繰り返しながら活動を続け、2010年には13枚目のスタジオ・アルバム『ワールド・ゴーン・クレイジー』(全米39位)をリリース、このアルバムには1971年のデビュー・シングル「ノーバディ(Nobody)」の再録バージョンが収録されました。

2005年にドラマーのキース・ヌードセンが死去するなど、かつてのメンバー中5人(ボビー・ラカインド、デイヴ・ショグレン、コーネリアス・バンパス、キース・ヌードセン、マイケル・ホサック)が相次いで鬼籍に入るという悲劇を乗り越え、現在でも地道な活動を続けています。

正に、伝説のバンドと言うべきですね。次回も、乞うご期待下さい^_^



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