シティーポップの代表アーティスト

日本で、1970年代中期からブームとなった『シティーポップ』。大瀧詠一、竹内まりあなどがいますが、中でも『山下達郎』の貢献度は大きいでしょう。

1953年、彼は池袋駅西口界隈で居酒屋を経営していた両親の間に生まれ、一人っ子として育ちます。飲食業を嫌がる母親の希望もあって、長男の誕生を機に父親は転業を決意し、もともと電気職工であった祖父が経営していて倒産した工場を引き継ぐ形で再興を図ります。

小学6年生の時、当時の音楽担当教師に勧められクラブとマーチングバンドに所属し、太鼓を担当する。これをきっかけに楽器への興味が芽生えたものの、音楽そのものに関しては、映画好きであった両親の影響で耳にする映画音楽や、テレビ・ラジオの歌番組から流れてくる歌謡曲を楽しむ程度に留まっていました。当時のお気に入りは三波春夫ので歌謡浪曲でした。

豊島区立高田中学校へ進学。ここではブラスバンド部に入部し、やはり小太鼓を担当します。以来、中学・高校の6年間をブラスバンド部員として過ごし、打楽器を担当し続けました。また、同じ時期、ウクレレを買ってもらったことをきっかけにギターにも興味を持ち、独学で練習し始めています。友人の影響を受けてベンチャーズをきっかけに洋楽を聴くようになったのもこの頃で、熱心なトップ40リスナーになりました。ベンチャーズのコンサート・プログラムに載っていた曲目リストを見て、自分の好きな曲が特定の作家の作品であったことを知り、それからはポップスを系統立てて聴くようになります。

1972年、アマチュアバンドの友人達とアルバム『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』を自主制作する。この中には、後に『シュガー・ベイブ』のメンバーとなる村松邦男と鰐川己久雄がいました。1974年、音楽事務所と契約するも、給料をもらえず、経済的に困窮します。しかし、この頃から始めたCM音楽の仕事や、スタジオでのコーラス・ワークの活動を通じて、達郎の声は少しずつ認知されてます。シュガーベイブも学園祭やライブハウス等の場で、次第に知名度を増していきます。

シュガー・ベイブの所属レコード会社が大瀧のナイアガラ・レーベルに決定し、レコーディングを開始します。

シュガー・ベイブ(山下・大貫・村松)がコーラスで参加した荒井由実のアルバム『MISSLIM』をリリースする。達郎はコーラスの他、一部の曲ではギタリストとして参加。荒井(松任谷)の作品にはソロになって以降も、『OLIVE』(1979年)まで関わっています。

1975年、シュガー・ベイブ、アルバム『SONGS』とシングル「DOWN TOWN」を、ナイアガラ・レーベルから同時リリース。

アルバム・リリースと前後してメンバーに変動があり、野口・鰐川に替わって上原裕・伊藤銀次・寺尾次郎が加入することで、6人組となりましたが、伊藤が抜け、再び5人組となります。

黒木真由美がアルバム『12のらくがき』をリリース。この作品には、山下が初めて他のシンガーに書き下ろした「恋人と呼ばれて」と「北極回り」の2曲を収録。

1977年、全曲アメリカ・レコーディングによるアルバム『CIRCUS TOWN』(50位)でRCA ⁄ RVCよりソロ・デビュー。

吉田美奈子のアルバム『TWILIGHT ZONE』を、吉田との共同プロデュースでリリース。アルバムからのリカット・シングル「恋は流星Part I・II」をリリース。

アルバム『SPACY』(59位)リリース。前作『CIRCUS TOWN』での海外レコーディング経験に大きな音楽的刺激を受け、以後、自分が書いたスコアでスタジオ・ミュージシャンと共にレコードを制作する数年間が始まります。その結果、『SPACY』は実験的かつ内省的なアルバムとなり、売り上げは芳しくなかったが、後のセールス・ポイントとなる一人多重録音によるコーラスが登場。古くからのファンには本作がベストと評する人も少なくありません。

山下編曲・プロデュースによるマザー・グースのシングル「貿易風にさらされて/マリン・ブルー」リリース。他のシンガーを手掛けた初プロデュース作品。

1980年、コンサート・ツアー『CONCERT ’80』スタート。全5公演。コンサート・ツアー『RIDE ON TIME CONCERT ’80』スタート。全15公演。

79年、プロモート用で制作されたLPが評判となり、『COME ALONG』のタイトルでリリース(カセットのみ)。DJ入りコンピレーション・アルバムの先駆けとなる作品となります。

シングル「RIDE ON TIME」(3位)リリース。自らも出演したmaxellカセットテープのCMソングとして初のトップ10ヒットを記録。

山下プロデュースによる、水口晴幸『BLACK or WHITE』リリース。COOLS ROCKABILLY CLUBから独立後、初のソロ・アルバム。『80’s JAM OVER JAPAN』に出演。

神奈川県の葉山マリーナ・エメラルドプールで『RIDE ON TIME CONCERT in HAYAMA』開催。この年の冷夏の影響を受け、寒さと豪雨という最悪のコンディションの中、約4時間決行されたため、山下にとって最も印象深いコンサートの一つになっています。

コンサート・ツアー『RIDE ON TIME CONCERT ’80-’81』スタート。全38公演。

アルバム『RIDE ON TIME』リリース。アルバム・チャート1位を記録、ソロ・デビュー4年目にしてブレイクを果たします。

アルバム『RIDE ON TIME』の収録曲「MY SUGAR BABE」(90位)が日本テレビ系ドラマ『警視-K』主題歌に使用され、リカット・シングルとしてリリース。楽曲を気に入った番組プロデューサー兼主演の勝新太郎が山下に電話で直接交渉し、ほぼ強引に使用を決めました。後に行われた番組の制作発表会見では他の出演者と共に同席させられ、後日の芸能紙やスポーツ新聞には、会見で憮然とした表情の山下の写真が掲載されました。

一人アカペラ・アルバム『ON THE STREET CORNER』(13位)を10万枚限定でリリース。一人多重録音のア・カペラによるドゥーワップ作品。これ以降、山下の一人ア・カペラはその認知度を増していきます。

前年、リリースのアルバム『MOONGLOW』(20位)が第22回日本レコード大賞のベストアルバム賞を受賞。

1982年、アルバム『FOR YOU』リリース。オリコンチャートで1位、年間アルバムチャートでも2位となり、評価を確立。

シングル「あまく危険な香り」(12位、TBS系金曜ドラマ『あまく危険な香り』主題歌)リリース。

竹内まりやと結婚。竹内には楽曲提供だけでなく、同じRVC所属シンガーのレコーディングにコーラスとして揃って駆り出されるなど、関わる機会が多くなる中で懇意となり、既に結婚のおよそ2年前から山下のマンションで同棲生活を送っていました。

TBSラジオ『サウンズウィズコーク』レギュラー開始。

山下作詞、作・編曲、プロデュースによるフランク永井のシングル「WOMAN」リリース。

松本隆作詞、山下作・編曲による近藤真彦の7枚目のシングル「ハイティーン・ブギ」リリース。カップリングの「Momoko」も松本作詞、山下作・編曲作品。近藤主演の同名映画の主題歌。近藤もディレクター小杉の担当するシンガーの一人でした。

初のベスト・アルバム『GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA』(2位)リリース。RVC最後の作品。

RVCとの契約を解消。小杉がRVCから独立、アルファレコードの村井邦彦とヤナセの梁瀬次郎の資金援助の下に設立したレコード会社、アルファ・ムーンに役員兼ミュージシャンとして移籍。コンサート・ツアー『Sparkling ’82-’83』スタート。全18公演。

1988年、山下プロデュース作3曲を収録した鈴木雅之のセカンド・アルバム『Radio Days』リリース。

シングル「GET BACK IN LOVE」(6位、TBS系ドラマ『海岸物語 昔みたいに…』主題歌)リリース。

作曲・プロデュースを手掛けたアカペラ・グループ「14カラット・ソウル」のシングル「THE GIRL IN WHITE」リリース。後にアルバム『僕の中の少年』にてセルフ・カバー。

鈴木雅之『Radio Days』からのリカット・シングル「Guilty」リリース。

アルバム『僕の中の少年』(1位)リリース。

JR東海のクリスマス・キャンペーンCMソングに「クリスマス・イブ」が使われヒット。以後、日本のクリスマス・ソングのスタンダード・ナンバーの一曲となります。コンサート・ツアー『PERFORMANCE ’88-’89』スタート。全39公演。

1989年、『僕の中の少年』からのリカット・シングル「新・東京ラプソディー」リリース。

シングル「おやすみロージー -Angel Babyへのオマージュ-」(22位)リリース。

80年代のホールツアーの記録を集大成したライブ・アルバム『JOY –TATSURO YAMASHITA LIVE–』(3位)リリース。

12月、「クリスマス・イブ」が、JR東海のクリスマスCMに再度使用され、オリコン・シングルチャートでランクインから30週かけて1位を獲得。以後4週連続で1位を記録。

1992年、シングル「アトムの子」(18位、キリンゴールデンビターCMソング)リリース。カップリングには「BLOW」(TBS系TV『アメリカズ カップ’92』テーマソング)を収録。

JFN系『サタデー・ソングブック』(毎週土曜15:00-15:54)開始(1994年3月26日まで)。

竹内まりやのアルバム『Quiet Life』リリース。オリコン・アルバムチャートで1位を記録。

シングル「MAGIC TOUCH」(17位、maxell CD-XL イメージ・ソング)リリース。

TBS系テレビ『ビッグモーニング』のテーマ曲として「鳴かないでHERON」オンエア開始。

シングル「ジャングル・スウィング」(22位、日産SKYLINEイメージ・ソング)リリース。

一人アカペラとフル・オーケストラで構成されたクリスマス・シーズン向けの企画アルバム『SEASON’S GREETINGS』(4位)リリース。

「クリスマス・イブ」が、TBCクリスマス編CMに使用されます。

TBSラジオの番組『赤坂ライブ』「150回記念スペシャル」としてTBSホールで開催された『山下達郎 〜クリスマスイブ・スペシャルミニライブ〜』に出演

1997年、1982年リリースのベスト・アルバム『GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA』をボーナス・トラック付き、デジタルリマスター盤にて再リリース。1990年のCD化に際して内容が大幅に変更されたことを巡り、前所属先のBMGビクターとの訴訟問題にまで発展したが1995年に和解が成立。これを機に、山下自身の監修によるRCA ⁄ AIR時代のカタログのリマスター作業が始まります。

松本隆作詞、山下作・編曲、プロデュースによるKinKi Kidsのデビュー・シングル「硝子の少年」リリース。初登場1位、シングルチャート100位以内に31週間ランクインされるロングヒットとなります。「ひととき」がJACCSカードのCMに採用されます。

2012、結婚30周年(真珠婚)を迎えます。

『サンデー・ソングブック』“東日本大震災1周年 追悼と復興祈念のプログラム”が、『第38回 放送文化基金賞』(主催:公益財団法人 放送文化基金)にて、「ラジオ番組 優秀賞」(番組部門)と「出演者賞」(番組部門 個別分野)の2部門を受賞。贈呈式には山下の代理としてスマイルカンパニー社長小杉理宇造が出席し、本人のメッセージを代読。この中で出演者賞の賞金(10万円)を震災復興支援のため全額、日本赤十字社へ寄付することが併せて発表されました。

全国13か所のティ・ジョイ系シネコンで、ライブ映像による初のシアター・ライヴ『PERFORMANCE 1984-2012』(制作:ワーナーミュージック・ジャパン / スマイルカンパニー、配給:東映)を1週間限定で開催。ミニシアターランキング(興行通信社発表)で興行成績1位を獲得するなど予想を越える大ヒットとなり、開催が延長されたほか、渋谷TOEIで1週間の追加上映が行われました。

2年ぶりの野外フェス参加となる『SWEET LOVE SHOWER 2012』(山梨県・山中湖交流プラザきらら)に出演。ステージ中盤には竹内まりやがサプライズ・ゲストとして登場、2曲を披露しました。

シュガー・ベイブ「DOWN TOWN」から新作「愛を教えて」(テレビ朝日系木曜ドラマ『遺留捜査』主題歌)まで、レーベルを超えて選曲された初のオールタイム・ベスト『OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜』(1位)リリース。

シアター・ライヴ『PERFORMANCE 1984-2012』の好評を受けて、TOHOシネマズ系、109シネマズ系を含む全国19か所のシネコンで再映。

『サンデー・ソングブック』が放送20周年を迎えます。

『OPUS』通常盤にクリスマス・デザインの三方背ボックスで包装した、クリスマス期間限定パッケージが販売開始。

2003年リマスター盤シングルをクリスマス特別ボックス包装した、シングル「クリスマス・イブ」のクリスマス期間限定パッケージが販売開始。

2020年、アルバム『POCKET MUSIC』『僕の中の少年』のリマスター盤を『POCKET MUSIC (2020 Remaster)』(9位)『僕の中の少年 (2020 Remaster)』(8位)として同時発売。

2021年、アルバム『ARTISAN』発売から30周年を迎えた2021年、リマスター盤を『ARTISAN -30th Anniversary Edition-』(3位)として発売。

「クリスマス・イブ」の2021年バージョンが、期間限定商品として発売されます。

2022年、山下の書下ろし3曲を含む木村拓哉のセカンド・アルバム『Next Destination』リリース。

ホール・ツアーとしては3年ぶりとなるコンサート・ツアー『PERFORMANCE 2022』スタート。全国24都市47公演。

2011年8月にリリースされた『Ray Of Hope』以来実に11年ぶりとなるオリジナル・アルバム『SOFTLY』リリース(予定)。2021年12月にレギュラーラジオ番組『サンデー・ソングブック』の1500回記念として行われたアコースティックライブから7曲の音源を収めた“プレミアムCD”付きの初回盤、および通常盤の2仕様でリリースされるほか、2枚組アナログ盤、カセット・テープも同時リリース。

やはり、山下達郎といえば、「クリスマス・ソング」。今年も、流れるのかな〜〜〜。



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